ICEFでは、キーとなる先端技術を用いてクリーンエネルギーに移行するためのICEFロードマップを作成しています。ICEFロードマップは、産学官の視点に立って現実的かつ事実ベースの道筋を見出し、すべてのステークホルダーの活動に資することを目指します。
ICEFロードマップは、主に長期的ネット・ゼロ・エミッションを牽引することが期待される技術を取り上げ、年次総会においてドラフトを提示、年次総会での議論や有識者のレビューコメントを反映した上で最終版を作成しています。
「人工知能(AI)と気候変動緩和 第2版」は、昨年に発表された2023年ロードマップのバージョン2.0であり、航空、民生部門、二酸化炭素回収、原子力、大規模言語モデル(LLM)、極端気象への対応など、昨年取り上げられなかった新しい話題を盛り込んでいます。また、電力システム、フードシステム、製造業部門、道路輸送、温室効果ガス排出モニタリング、材料イノベーションなど、昨年取り上げた内容も更新されました。各章で具体的かつ実行可能な提言を示し、気候変動への対応にAIをいかに活用できるかについて、詳細かつ包括的な提言を提供しています。
人工知能(AI)と気候変動緩和ロードマップのドラフト版はICEF2023において発表されました。
人工知能(AI)と気候変動緩和ロードマップは、気候変動対策としてAIの利用が期待されている分野-温室効果ガス排出モニタリング、電力系統インフラ、製造業、材料開発、フードシステム、輸送等におけるAI活用の可能性を探るものです。加えて、AI活用にともなう障壁や課題について検討し、AIが気候変動緩和へ貢献するための道筋を提示しています。
人工知能(AI)と気候変動緩和ロードマップの最終版は、2023年12月にCOP28において発表されました。
今回のロードマップでは、ブルーアンモニアやグリーンアンモニアなど低炭素アンモニアが農業、船舶、産業、電力など幅広い分野の脱炭素化に重要な役割を果たす可能性を探るものです。また、今日のアンモニア産業、低炭素アンモニアの生産オプションやインフラ整備の必要性、利用方法のポテンシャルについてまとめるとともに、環境課題や研究開発、政策オプションについて検討しています。
低炭素アンモニアロードマップは、COP27において発表されました。
ICEFのブルーカーボンロードマップは、マングローブ、塩性湿地、海草藻場、大型藻類の天然藻場、およびコンブやホンダワラなどの大型藻類の養殖によって回収・蓄積されるCO2をブルーカーボンと定義し、ブルーカーボンがネット・ゼロ・エミッションに貢献する可能性を探るものです。ブルーカーボンは、2050年までに世界で年間0.5〜1.38GtCO2eqの削減効果があると推定されています。ロードマップでは、最新の科学的知見、今後期待される研究開発分野、今後起こりうる制度・政策・環境に関する考察を整理するとともに、ブルーカーボンの吸収量を増やし、生態系の消失による排出量を削減するための道筋を提示しています。
9回目となる今回のロードマップでは、これまであまり注目されてこなかった「炭素鉱物化」が気候変動対策に重要な役割を果たす可能性について考察します。
炭素鉱物化とは、二酸化炭素(CO₂)が岩石に結合し固体鉱物となり、大気中からCO₂を永久に除去する自然のプロセスです。このプロセスは、気候変動対策だけでなく、雇用の創出や地域の環境改善にもつながるさまざまな活動の基盤となります。炭素鉱物化のための資源は豊富で、世界の数十カ国に存在しています。
COP26 ジャパンパビリオンイベントにてロードマップ「Carbon Mineralization」について発表しました。
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このロードマップでは、バイオマスを用いて大気からCO₂を除去し、そのCO₂を地下または耐久消費財に貯蔵する方法を取り上げています。 また、本トピックを表す新しい用語として「バイオマス炭素除去・貯蔵(Biomass Carbon Removal and Storage: BiCRS)」を用いています。この用語は、これまで用いられてきた用語である「CCS(炭素回収・貯留)付きバイオエネルギー(Bioenergy with Carbon Capture and Storage: BECCS)」よりも、本トピックをより適切に表現していると考えています。
本ロードマップでは、次の論点について検討しています。
本ロードマップは、世界のCO₂排出量の約10%を占め、脱炭素化が求められている産業用途熱に焦点を当てています。水素・バイオマス・電力化・原子力・CCUSといった脱炭素化へ向けた技術の現状と成熟度の評価、セメント・鉄鋼・石油化学における事例分析、および産業用途熱の脱炭素化に不可欠な政策をまとめ、長期的な指針を提示しています。
本ロードマップは、「2℃目標シナリオ」におけるネガティブエミッション技術のポートフォリオを検討し、二酸化炭素の直接空気回収(DAC)に焦点を当てています。さらに、DAC技術とその現状、DACの長期目標(例えば、経済的実行可能性、DACおよびCO₂利用における正味CO₂削減の実現、再生可能エネルギー電力の役割、研究開発及び実証における目標)と政策支援などを提示しています。
本ロードマップは、2016年のロードマップからさらに検討を進め、コンクリートおよび炭酸塩(短期市場)、汎用化成品(短中期市場)、および耐久性炭素材料(現在は小規模だが潜在市場は大きい)という3つの分野に焦点を当てました。また、CO₂利用による便益を分析する際に重要となる「ライフサイクル分析」も実施し、CO2Uによる便益の促進や最大化を実現するような政策的アプローチを探究しました。
本ロードマップは、電力系統のフレキシビリティ(柔軟性)確保のためのポートフォリオの一つである「定置用電気エネルギー貯蔵」、運輸電動化の鍵を握る「移動用電気エネルギー貯蔵」、および再生可能エネルギーまたは環境熱の貯蔵が可能な「定置用熱エネルギー貯蔵」の3分野について取り上げ、先進電池を含む注目分野の技術の現状や、将来目標や必要な支援政策をまとめました。
技術の実現可能性、技術成熟度、市場及び機運(momentum)の観点から約180件の国際的な技術開発事例の評価を行い、二酸化炭素利用技術の商用化に向けた2030年までのロードマップを提案しました。
本ロードマップは、これまでの国際機関、各国政府及び地方行政機関によって十分に取り上げられなかった「湿度」の要素に焦点を当て、エネルギー需要の大幅増加が避けられないアジアの高湿度地域を中心に、受動的対策(建物外皮)、能動的対策(設備)、再生可能エネルギー統合、エネルギーマネジメントの4つの技術カテゴリーとそのタイムスケールを提案しました。
太陽光発電及び蓄電池、両技術の導入の可能性と課題を検討し、日本、ドイツ、米国、中国、インドを対象に、太陽光発電・蓄電池がもたらす機会を活用するためのロードマップを提案しました。